その研修は、組織課題に寄与できるのか?

私たちが企画する研修は、そもそも職場のどんな課題を解決しようとしているのでしょうか?
そして、企画した研修を実施したあと、その課題は本当に解決しているのでしょうか?

 

上記の問いは、現在の私が研修を企画する際に、最も大切にしている視点です。当時、いまから10年前に教育担当としてのキャリアをスタートしたばかりの私は、いわゆる研修のための研修をしていました。外部の勉強会に出て得た知識を、それを社内に持ち込みたくてしょうがありませんでした。2006年に販売部門の教育担当としてのキャリアをスタートした私は、コーチングを本格的に勉強し始めていた頃でした。最先端のコーチングの情報を知っているというちょっとした優越感、それを展開することができるというワクワクするイメージ。だいぶ独りよがりな教育担当者であったと思います。自分自身が企画する研修が、販売部門の戦略上、何に役立つものなのか? はたまた、どんな組織課題を解決するものなのか?恥ずかしながら当時の私はあまり考えられてはいませんでした。

 

それからしばらくして、当時の販売現場では、組織の環境が激変するなかで退職率の軽減が組織上のミッションでした。退職率の軽減を図るという組織課題に対して、しっかりと企画内容を関連付け、店長向けのコーチング研修の導入をすることができました。販売に携わるスタッフが、前向きに長く働いていくれることはまさに現場が望んでいることそのものでありました。

 

店舗の現場で陥りやすいマネジメントケースについて、現場の店長にヒアリングを重ねたものをケーススタディにし、また、現場の店長にアドバイスする営業担当にもヒアリングして、ケーススタディを重層的に深みが出るように設計しました。研修の実施が終わったあと、しばらくしてから退職率の軽減へ向けてマネジメントの取り組みが素晴らしい店舗に出向き、そのノウハウをインタビューしながら、成功事例をまとめました。そして、それらを社内イントラで情報を発信し、全スタッフに展開しました。

 

 

研修や研修の前後の取り組みが、退職率の軽減という数値目標につながっていることを確認しつつも、それ以上に現場に本当に役立ってるな、現場に効き目が出ているなと肌感覚がありました。組織や現場の課題に対して研修が打ち手になっていること、また、その研修を実施した結果、具体的な変化を”数値”と”現場での行動変容の肌感覚”の双方で感じ取ることができること、これらが研修を企画、実施する上での大切なポイントになります。

 

人材開発部門が、現場に寄り添うことの大切は耳にたこができるぐらいよく聞く話です。しかしながら、それができている会社というのは、意外と少ないというのも事実です。人事は、中長期を見据えて人を育てたいと思いますし、現場は、短期業績のコミットを求められるなかで、すぐに役立つもの、実践的なものを欲しがります。そのなかにおいて、人事教育部門は、中長期を見据えながらも現場の意向を正確に読み取り、どの課題に対して研修を企画することが組織力の向上につながるのか、現場とともにそれらを考え、ともに研修の企画を創り出すことがとても大切になってきます。

 
弊社では、教育の主管部門、受講対象者の部門などのハブとして機能し、真の課題を捉え、その課題解決に向けた研修の企画、実施をお客様とともに進めています。

 

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