研修の参加者の行動変容を意識した企画をする場合に、みなさんはどんな点を意識されますか?私が、受講者の行動変容を前提にした研修を企画するときに意識していることは、まず小さく始めて周囲の感触を探り、微修正をかけながら対象範囲を広げていくことです。最終的には、全国支社への展開、また、他部門展開を狙い、全社的なムーブメントにしていくところまで視野に入れます。

 

最初の1回目は、失敗が許容される範囲でトライアル的にやってみるということが大切です。決して、研修内容について手を抜くわけではなくありません。最高レベルの品質を提供する準備をして、それをトライアル的に試し、参加者の反応、上司の反応などを伺うイメージです。その反応は、参加者個人のアンケートによる反応をみるだけでなく、現場での行動レベルの変容をみて、果たして全社に広げられそうなのかという視点で戦略を練ります。

 

例えば、会議のためのファシリテーションの研修を、本来は中堅層に提供するのが主目的であったとしても、まずは、若手層で試してみて、うまく機能するかを試してみます。そして、反応がよければ、その内容をベースにボリューム層の中堅層向けにアレジして提供していくというイメージです。

 

ただし、注意も必要です。対象範囲を本来のターゲットより下位層に行う場合は、その若手層が習ったことを現場で適用する際に相当なプレッシャーがあるわけです。ある意味、職場に小さな波紋をもたらす可能性もあるわけです。新しいスキルを職場が受け入れる態勢を作っておかないと、若手が変なことをやり始めたと言われかねないからです。研修の主管部門のみなさまは、トライアルで受けた参加者がファシリテーションの技術を職場で活用することを対象者の上長とうまく調整しておくことが何より大切です。トライアルだからこそ、行動変容に関してより丁寧にしていくことが肝心です。

 

 

そして、本来のターゲットである中堅層向けへのファシリテーション研修の社内プロモーションでは、若手層へのプログラムとの明確な違いを打ち出し、どうメリットがあるのかを参加者に訴求します。ある意味、中堅層の方々に響くような若手より高度なものというニュアウンスが伝わるようにするのも効果です。この際に、文字で書いてもなかなかイメージが伝わらない部分もあるので、図、絵、写真などを活用してイメージに訴えかけるような社内プロモーション用の資料作りも大切です。

 

ファシリテーションの研修では、空中戦の議論になりやすい会議を、ホワイトボードを使ってどう見える化するかというセッションがあるのですが、それを社内プロモーションの資料で言葉で伝えるとなんとなく伝わるような気がしてしまいます。しかし、その社内プロモーションに一手間かけて、実際に、ホワイトボードを使って、議論を整理し、見える化しているイメージ写真などを挿入するわけです。

こうして、実施したい内容の具体的なイメージが伝わるような社内プロモーション資料作りをすることで、現場の参加者の参加意欲を高めることができ、同時に、上司も参加者を研修に送り出しやすくなります。上司も、部下が参加する研修内容がスッと頭に入ってこないと、研修に送り出していいのかどうかもわからなくなり、めんどくさくなって「とりあえず仕事しろ!」となってしまいます。

 

最後に、中堅層のファシリテーション研修がうまく成功して、参加者の現場での行動変容へ上手くつながっていくと、次に全国支社展開ならびに他部門への波及を狙っていけることになります。まさに、ムーブメントを少しずつ起こしていくイメージです。これには、現場レベルの責任者が、かなり強くコミットしている状態があって始めて成り立つとも言えます。主管部門はそのような状態をつくるためにどうしたらよいかを思案することになるわけです。それには、具体的な研修効果を示すことも必要になります。ファシリテーション研修の場合は、働き方改革に伴う会議時間の短縮などを具体的な数値で示すと効果的です。このような地道な作業を通じて、現場の上長や参加者ん参加を募り、全国展開への繋げていくわけです。

 

以上、小さく始めて大きく育てる研修企画の一つのアプローチ方法でしたが、いかがでしたでしょうか?研修を企画するときに、なるべく組織全体に広がる構想をいかに初期段階から戦略的にイメージするかがとても大切です。そうすれば、徐々にではありますが、企画した研修が多くの現場の社員おみなさんが、「今回の研修は効果がある」と口コミで広めてくれるようになります。

ぜひ、小さく始めて大きく育てる研修の企画をともに立てられたらと思います。